房総の名工、武志伊八郎信由を巡る旅1・・・飯縄寺
飯縄寺は、天狗の寺として知られる千葉県いすみ市岬町の寺院です。
境内には、江戸時代に隆盛を極めた名残がたくさん残されています。
ここで伊八は約10年間滞在し、本堂再建に携わったそうです。
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伊八はこの寺で本殿の向拝に龍をかたどり、本殿内陣に3面一式の欄間彫刻を手がけました。
内陣向拝中央に「牛若丸と天狗(鞍馬山僧正坊)の図」、左右に「浪に飛龍」の彫刻が飾られており、現在も一般公開されています。
この寺の堂宇の改築の際、西暦1796年(寛政8年)頃に制作されたといいます。
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武志伊八郎信由(初代伊八)は、1751年に現在の鴨川市打墨で生まれました。
作品完成時の伊八は、46歳。
20代初めの頃から彫刻職人として腕を振るってきた伊八にとっては、転換期に差し掛かります。
波の彫り方がクルクルとした表現から、よりダイナミックな表現に変わってきた頃と言われています。
この波の表現が伊八の独自性をより際立たせ、この17年後、行元寺にて伊八最大の代名詞ともなる欄間彫刻を仕上げることになります。
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牛若丸と天狗の伝説
この地には、大天狗(鞍馬山僧正坊)の助言によって源義経(牛若丸)が京都から奥州に向かう途中に立寄ったという言い伝えが残っています。
欄間には、牛若丸が大天狗から秘伝の書を受け取る場面が描かれている様子が描かれています。
特に天狗の緻密な表現に注目して頂きたいですね。
伊八の作品で正面に銘を彫るのは大変珍しいとのこと。
見学される際には、この銘も探してみてはいかがでしょうか。
堤等林の鳴き龍
飯縄寺の見所は伊八の彫刻だけに留まらず、本堂の天井には墨絵の龍が描かれています。
この龍は、勝つ葛飾北斎の師として知られる「堤等林」の作品。
伊八の彫刻同様、1805年(文化2年)の楽慶式に合わせて作られたといいます。
本殿に入って天井を見上げると、この鳴き龍に出会う事ができます。
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飯縄寺の仁王門
室町期様式の藁葺き屋根が今も残り、寺内で最も古い建物と言われています。
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見られた野鳥
アカハラ、ツグミ、カワラヒワ
飯縄寺のすぐ近くには、太東崎灯台があります。
房総の荒波を上から眺めることができます。
飯縄寺に立寄の際には、この灯台への立寄もオススメします。
アクセス
駐車場あり。トイレあり。
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所在地:千葉県いすみ市岬町和泉2935-1
営業時間:10:00~16:00
料金:300円
訪問日: , 訪問者:YOPI
満足度 ★★★★★ : 5
瑞龍院の欄間彫刻(未見学)【千葉県館山市】/ 伊八の欄間彫刻をめぐる旅5
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2017年4月
石堂寺の向拝の龍【千葉県南房総市】/伊八の欄間彫刻を巡る旅4
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1 2017年4月
大山寺不動堂の向拝の龍【千葉県鴨川市】/伊八の欄間彫刻を巡る旅3
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3 2017年4月 エナガ、シジュウカラ
清水寺本堂の彫刻【千葉県いすみ市】/伊八の彫刻を巡る旅番外編
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2017年3月
「波と宝珠」と行元寺【千葉県いすみ市】/ 伊八の欄間彫刻を巡る旅2
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3 2017年3月
X-T1,X-T2用ロングアイカップEC-XT Lは必需品
![EC-XT L / LONG EYECUP](https://macro-graphy.yucapo.com/wp-content/uploads/2016/10/DSCF5518-150x150.jpg)
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彫師伊八の欄間彫刻を巡る旅
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