南房総市にある石堂寺は、南房総最古の寺と言われ、広い境内には様々な文化財が点在しています。
創建以来、長期にわたって隆盛を極めていたことがうかがわれます。
石堂寺では、初代伊八による本殿向拝の龍と多宝塔にはめられていた彫刻16面を拝見することができます。
本堂向拝の龍
本堂正面の向拝に龍がたたずんでいます。
銘が見当たりませんが、まさしく伊八の龍の顔ですね。
龍だけのシンプルなレイアウトです。
波に乗っていない龍は大変珍しいのではないでしょうか。
多宝塔
1573年、室町時代に建立されたと言われる多宝塔。
禅宗様式の詰組が目を引きます。
関東に現存する江戸時代以前に建立された多宝塔は少なく、とても貴重な存在です。
保存状態もよさそうです。
鐘楼堂
鐘楼堂は、1783年建立。
ここにも、伊八の彫刻の形跡があります。
年代的に、この鐘楼堂の建立に合わせて伊八に彫刻を注文をした可能性もありますね。
波には伊八独特の荒々しさがまだありません。
16面の彫刻
寺務所で300円を払い、16面の彫刻も見物させてもらいました。
この16面の彫刻は、多宝塔の扉の脇にはめられていましたが、建立当時の状態に戻すということで文化財指定の折に取り外されました。
16面の彫刻は、寺務所から隣に通じる廊下の上部に飾られています。
一対の阿吽(あうん)でテーマ別に8組彫られています。
石堂寺のホームページによると、1791年(寛政三年)、伊八39歳頃の作品と記載されています。
しかし、一部の彫刻は往年のダイナミックな波の造形が見られます。
もしかしたら、年々追加や作り替えが行われたのかもしれません。
住職からも興味深い話をしていただきました。
彫刻のところどころ欠けている部分は、外に飾られていたために風化により劣化し、また子供たちが塔に登ろうとして彫刻に手をかけてもげたりしたのだとか。
アクセス
広い駐車場あり。
◇カテゴリー:武志伊八郎信吉
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